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日立が英国ネットワークレール社から欧州統一規格に準拠した車上信号装置を受注
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)の英国における鉄道システム事業会社である日立レールヨーロッパ社(取締役会長兼CEO:Alistair Dormer)は、英国ネットワークレール社(Network Rail/以下、NR)から、欧州の鉄道における統一列車制御システム規格であるETCS*1に準拠した車上信号装置を日本企業として初めて受注しました。受注したETCS車上信号装置は、英国カンブリアン線(Shrewsbury~Pwllheli間/215km)を走行する2両のClass 37ディーゼル機関車に搭載され、2015年8月から用いられる予定です。
欧州の鉄道は、車両や線路、信号システムなどが国によって異なっているため、国境を越えて主要都市間を走行する長距離列車では、そのまま乗り入れることが出来ずに、牽引する機関車を国境付近で変更することなどで対応してきました。しかし、これは、スピードアップの妨げとなることに加え、手間がかかることなどから、機関車や電車を相互に運用可能にするため、規格の共通化が進められてきました。
特にスムーズな運行と鉄道車両や路線の相互活用のためには、統一された信号システムが必須であることから、ETCSが1990年代前半から開発が行われてきました。現在では、ETCSが、都市間交通向けに規格化された唯一の信号システムとして、中国やインドなど欧州以外の地域においても導入が推進されており、全世界で延べ68,000km以上の路線に展開されています。日立は、2008年10月に中国の広州と深圳を結ぶ高速旅客専用線向けにETCSに準拠した列車制御システムを受注し、納入した実績があります。
日立は、2013年12月に、日本企業として初めてETCS規格への適合を示すTSI*2認証を取得し、ETCS規格に準拠した車上信号装置を製品化しています。製品化にあたり、英国ネットワークレール社の協力を得て、機関車を用いた実証走行試験を実施しており、他社製のETCS規格に準拠した地上信号システムとの互換性などで高い信頼性を有しています。
日立は、これまで培ってきた英国での取り組みや製品の信頼性に加え、きめ細かい技術サービスの提供が評価され、今回の受注に至りました。本装置は、走行を安全に制御する安全計算機や無線通信装置などから構成されており、地上から車上に無線で伝送される信号情報に基づき車両ブレーキの自動制御を行う装置で、各編成の先頭車両に設置され、列車を制御します。
本製品は日立が納入する英国都市間高速鉄道(IEP:Intercity Express Programme)向けの車両866両にも搭載される予定です。日立は、今回の受注を契機に、英国をはじめとする欧州の鉄道信号市場に本格的に参入していきます。*1ETCS(European Train Control System):都市間鉄道向けの列車制御システムであり、欧州で国境を超えた路線間の相互乗入を実現すべく規格化された。欧州指令(EU Directive)によって、欧州を中心に導入が義務付けられており、日立は、欧州公的認証機関からETCS車上信号装置の認証を取得した。*2TSI(Technical Specification for Interoperability):都市間鉄道向けの相互乗入に関する技術要求。信号装置においては、欧州安全規格やETCS規格への対応が要求されている。