Press release -
日立、ニューヨークと香港に5Gを活用した都市鉄道向けデジタル信号システムを提供
株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業を担う日立レールは、都市鉄道の信号システムに5Gを活用することで、ライフサイクルコストを削減し、データ分析からの実用性を向上させ、鉄道ネットワークの将来性を高めます。この度、ニューヨークのクロスタウン線と香港国際空港のAutomatic People Mover(全自動車両運転システム)では、列車と地上間のミッションクリティカルな通信で、従来の無線技術を5Gに置き換えます。
列車を制御する鉄道信号システムの一つであるSelTrac™ CBTCは、列車から地上への通信を使用して、路線の運行管理をサポートする先進的なデジタル信号ソリューションです。地下鉄やライトレールシステムの新しい路線に導入されている技術で、既存のネットワークの更新時に使用されることが増えています。CBTCは、従来の信号システムと比較して、より多くの列車本数の走行、安全性、トータルな信頼性を実現します。
CBTC技術は、世界中の鉄道サービスのパフォーマンス向上に貢献していますが、現在、列車から地上への通信を可能にするには、無線やWi-Fiなどの通信技術に依存しています。革新的な5Gを使用した日立レールのソリューションは、従来のテクノロジーの制限を取り除き、代わりにパブリックまたはプライベートネットワークを活用します。5Gソリューションでは、必要な5G無線アクセスポイントの数が既存のWi-Fiソリューションと比較して少なくて済むため、路線上のインフラが大幅に削減されます。
5Gには、トンネルなど最も通信が困難な環境でも継続的に高性能の接続を維持できるなど、大きなメリットがあります。大幅に増加した5G帯域幅により、日立レールの高度なデジタルアセットマネジメントソリューションの使用が可能になります。列車データのリアルタイムレポートを提供することで、列車とインフラの両方の運用と保守を最適化することができます。
5Gの事業者は、新しい無線インフラを設置することなく、拡張されたネットワーク容量を使用して、さまざまな追加サービスを提供することができ、将来の技術革新(例:6G)や後方互換性にも対応できます。30年のライフサイクルを考えると、無線アクセスインフラは重要な資産となります。
日立レールは、先進的な5G通信システムを備えたSelTrac™ CBTCソリューションを、世界で最も混雑している2つの地下鉄ネットワークに導入します。ニューヨークでは、毎日7万人の乗客を輸送するクロスタウン線にプライベート5Gネットワークを導入し、香港では、国際空港のAutomatic People Mover内にある既存のSelTrac™ソリューションに5Gオーバーレイネットワークを導入しています。これらのプロジェクトは、ミッションクリティカルな信号アプリケーションに5G接続を組み込む最初のプロジェクトの一つになります。
■日立レール Managing Director, Urban Rail Signalling, Ziad Rizk(ジアド・リズク)のコメント
「当社初の5Gソリューションは、都市鉄道市場のゲームチェンジャーです。新しい5Gシステムは、地下鉄事業者に信頼性の高い大容量のCBTC運用を提供する上で重要な役割を果たします。2つの事例からわかるように、お客様のニーズに最適なさまざまな導入オプションを提供しています。私たちは、この革新的な技術をお客様に提供し、それが乗客にもたらすメリットを誇りに思っています。」
2024年5月31日、日立レールはタレス社GTS部門の買収を完了し、事業拠点51カ国、従業員数24,000人へと拡大しました。この買収により、日立レールは、都市鉄道信号の専門性を高めるなど、製品と技術のポートフォリオを拡大することができました。日立レールは、9月24日から27日までベルリンで開催される国際鉄道展示会「InnoTrans(イノトランス)2024」で、5Gソリューションを含む都市鉄道製品を展示します。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」という3セクターの事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。3セクターの2023年度(2024年3月期)売上収益は8兆5,643億円、2024年3月末時点で連結子会社は573社、全世界で約27万人の従業員を擁しています。詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。